忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/09/21 11:57 |
いまだスランプ脱出目処立たず
題の通りです…。
微調整の残っていたBetrayer第六章は何とかup出来ましたが…。
キリリク製作前に、リハビリで思いつく限りのギャグネタでも書いてみるかな…? 
MLとELのちとせルートやりなおしてこようかな…。
それと、関係ないですが六章で書ききれなかったルーウィンの火傷痕にまつわることを小話感覚で下に載せてみます。


~火傷痕の戒め~


火傷痕が酷く疼く。
二年前に負ったこの火傷痕は、自らの甘い部分への戒め。

 とある寒い冬の日に彼はこの火傷を負った。
 平民地区の一角で起きた、火事。家が一棟全焼したが、幸いなことに死者は居なかった。
 中に取り残された赤ん坊を助けたのは、白い髪の青年だった。その青年はその際に、首筋に火傷を負った。
 それは、普通は名誉の負傷と称えられるものであるはずだった。

 でも期待なんて…していなかったはずだった。

「アンタが行ったせいで、この子が怪我をしたのよ!!」

 していなかった…。

「お前じゃなくて、俺が行ってれば無傷で助けられたはずだ!!」

 していなかった…はずなのに…どうして…こんなに苦しいんだ…?

 勝手なことを言うな。元からその赤ん坊は火傷をしていた。
 それに逃げるときにその子を連れて逃げなかったのは、誰だ? おれが焼けている家の中に突っ込んだとき、外でずっとおろおろしていたのは、誰だ?

 痛みを和らげるために、心の中だけで悪態を吐く。

 もう慣れたことだった。物心ついた時から、そうだった。何かあれば、すぐに自分のせいにされる。
 とても最悪なサイクル。しかも逃げ出せないのがタチが悪い。
 誰かの手助けをしたって、恩を仇で返されるだけ。ずっと前に、そう学んだ。
 だから誰かが困っていても、手を差し伸べなかった。
 なのに、どうして今はこんな行動を取ったのだろうか?
 
「まったく…あんな奴がいるせいで、ここ二十年くらい悪いことばかり起きる…」
「でも仮にも騎士でしょう? どうしてあんな忌み子が騎士になれたのかしら?」
「気まぐれだよ、気まぐれ。この五年、陛下の気まぐれだけで首が飛ばずに済んだんだって」
「なら何時首が飛ぶのかしらね? あ、もちろん、本物の首が、よ?」
「そうだな…、ま、そのうち奴の首がさらし者にされる日が来るって」
「我々セルダールの人間は悪魔の存在を許しません、ってな。ははは、ちょうどいいアピールじゃないか」
 今も、ふざけた誹謗中傷は聞こえてくる。

 助けなければ、よかった。そうすれば、あんな耳障りなノイズは聞かずに済んだはず。

 耳を塞いでも、ずっと、ずっと聞こえてくる、うざったいノイズ。
 火傷を負った首が、異様に熱く、痛く感じられた。

 その時、まともに医者に見せなかったせいで、火傷痕は残ってしまった。
 だが、彼自身は残ってよかったと思っている。
 鏡でも使わねば見えぬ場所にあるけれど、それは自分を固く戒める証。

 他人のために自ら行動するな。恩を仇で返されるだけだ。

 だが…それと同時に固く誓いなおしたこともあった。

 どれほど強い殺意を抱こうと…決して人を殺めるな、と。

 あの時覚えた殺意を消すため…隠すために、ひたすらにその誓いを心の中で呟き続ける。
 いずれ、その誓いを破ることになるのは…そう遠くないこととも知らずに。

 

PR

2006/12/27 15:59 | Comments(0) | TrackBack() | 小説

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<最終回の感想 | HOME | 意志薄弱だね…>>
忍者ブログ[PR]